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日露戦争~第一次世界大戦(明治37年~大正7年/1904~1918)
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今なるぞ

廣瀬海軍中佐 作詞

仰で見れば大空の
高きに彌増國の恩
俯して臨めば海原の
底より深き君の恩
酬る秋は今なるぞ

皇御國の武夫の
唯一筋に君の爲め
鐵より堅き心もて
忠と勇とに己が身を
盡さん秋は今なるぞ

人生僅か五十年
一度死ずはならぬ身の
註と勇とに君の爲
國の爲めとて健氣にも
死すべき秋は今なるぞ

御國を護る壯士の
日頃磨きし日本魂
忠義の二字を振翳し
御稜威と共に己が名を
顯す秋は今なるぞ

聖天皇の軍艦の
勤めに馴れし我々が
千辛萬苦も何の其
鍛へに鍛へし我が腕を
試さん秋は今なるぞ

御國に仇なす奴原を
打拂はんは我勤め
今度の仕打耳ならず
兼々憎き露西亞坊
打懲さんは今なるぞ

樺太交換其の以來
無禮と無禮重ねたる
失禮極まる露西亞坊
日頃積りし我恨み
晴さん秋は今なるぞ

雷なせる大砲と
霰玉散る機關砲
速射砲をば打破し
露西亞坊が軍艦を
打碎かんは今なるぞ

飛來る彈丸は雨霰
漲る烟の其の間
潜りて飛込む水雷艇
功名手柄を「トルビート」
打放たんは今なるぞ

群がる敵も何の其の
自由自在に我艦を
運轉なして「ライジング」
勢ひ好くも乘驅けて
打沈めんは今なるぞ

いか程國が廣く共
いか程艦が多く共
手並の知れし露西亞坊
イロハニホヘトチリチリと
打負らんは今なるぞ
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ウォーターロー

土井晩翠 作詞

渦卷く硝煙 飛び散る彈雨
萬兵ひとしく大地を蹴つて
ウォーターローは屍の小山
運命いかに ああフランス

閃めく劍先 轟く馬蹄
大軍たちまち雪崩を打つて
ウォーターローは血汐の流れ
運命非なり ああフランス

追ひ來る敵兵 斃るる勇士
全歐なびけし昔に替えで
ウォーターローのいまはの敗れ
運命盡きね ああフランス
一獻歌

男の酒の嬉しさは
忽ち通ふ意気と熱
人生山河險しくも
君盃をあげ給へ
いざ吾が友よまづ一獻

秋月影に酌むもよし
春散る花に醉ふもよし
情を知るは英雄ぞ
君盃をあげ給へ
いざ吾が友よまづ一獻

美人の酌に酔へばとて

今宵は今宵何か言ふ
男は明日に生きるもの
君盃をあげ給へ
いざ吾が友よまづ一獻

還らぬ戀に泣くもよし
戀には朽ちぬ男の兒なれ
國に死すべき目の爲に
君盃をあげ給へ
いざ吾が友よまづ一獻

友の情に泣くもよし
今は遠けき故郷の
母を思ひて泣くもよし
君盃をあげ給へ
いざ吾が友よまづ一獻

親とも思ひ僕とも
妻とも事も思ひたる
ああわが馬よ磨墨よ
何故お前は死んだのだ

ここ満州のきび畑
たふれし馬の鬣を
さすりつ呼べる一士官
聲ふるはして目に涙

指折り繰れば五年前
わが乗る馬と定まった
口にはいはねど心では
そのとき兄と誓ひしぞ

多くの人に送られて
日本の国を去りしとき
遠き故郷を眺めては
お前と一緒に泣いたぞや

寒い風吹く山の上
弾丸に雨ふる森の中
我は誰かを頼むべき
命の親と思ひしぞ

起き臥しするも二人づれ
いずこへ行くも二人づれ
はなれしこともなきものを
何故お前は死んだのだ

天晴れ手柄をした上で
再び国へ歸つたら
お前と共に褒められて
大きい顔もしてみたい

少しは楽もさせやうに
ああもかうもと思ひしに
これがこの世の別れとは
天をも我は恨むぞや

敵地へ来てからこ一年
危ういところへ飛びこんで
よく忠實に働いた
この恩はいつかは忘るべき

決して怨んでくれるなよ
天皇陛下もお喜び
名誉の戦死を遂げたのだ
立派な手柄をしてくれた

ほつておいては済まないが
いま戦争は半ば故
遅れて恥を見やうより
我は直ちに進むぞや

最後の水を飲めよとて
口に水入れ押し當てて
南無阿弥陀仏と手を合はす
武士の情けに感じたか

かすかに噺く馬のこえ
折から聞こゆるときの聲
唇噛みし一士官
三日月眺めしのび泣く
作詞 永井建子
作曲 永井建子

露営の夢を土城子に
結びもあえず夜の霜
解けかかりたる革帯を
締め直しつつ起ち上がり
明け残りたる月影に
前を臨めば水師営
砲塁高く山々を
連ねて待てる旅順兵

待ちに待ちたるこの朝を
二十一日この朝を
最後となして我進む
砲弾雨注のその中を
硝煙地雷のその中を
縦横無下に馳け巡り
突貫なせばたちまちに
難なく陥つる敵の塁

逃ぐるが勝ちと敵兵が
振り向く後ろに日本刀
前は即ち渤海の
船路操り危うくも
跡白波と落ち行けば
またも撃ち出す村田銃
窮鼠かえって猫を噛む
力もいかであらばこそ

彼が金城鉄壁と
頼みきったる砲台も
端なく落ちて傲頑の
支那も眠りや覚めにけん
夜寒を語る暁の
風心地よく翻る
御旗仰げば尊くも
大日本の旅順口
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