日露戦争~第一次世界大戦(明治37年~大正7年/1904~1918)
己驅逐艇隊三月十日の砲戰
江口莊二郎 作詞
東雲告ぐる鷄の聲
鑑の響の聞えずも
薄雲あなたに靉きて
夜はほのぼのと曙や
わきて今朝しも風戰ぎ
舷叩く漣を
合わせて成りし驅逐隊
闇を冒して水雷の
敷設を了へて歸る途
遙になびく二條の
煙は正に敵の艦
見るより早く戰鬪の
しるしの旗と檣に
掲げて共に近よれば
敵の固めの黄金山
鷄冠山や饅頭山
老虎尾威遠數々の
砲臺掩護の其下に
砲火は彼より開かれつ
亦我是を迎へ撃ち
茲に激しき戰は
港口近くに起りけり
天に轟く雷の
音凄まじく飛ぶ彈は
雨か霰かはた吹雪
撃ちつ撃れつ追ひ
互に氣力のますにつれ
艦首より被る荒波は
面を向くべき樣もなき
火焔と水と打交る
戰今は時を經し
後に殘りし敵の艦
其友船に棄てられし
銘栓自稱のステクシチー
我に撃たれし彈丸
檣折られ艦橋も
打拂はれて剩さつ
進退自由を失ひつ
たゞ大海に漂へり
命のあらむ其限り
我れと戰く殊勝さよ
されども天は我軍に
與し給ふを如何にせむ
あはれや健氣の其艦は
戰ふ力盡健果てゝ
海底深く沈み行き
いつしく旭日さし上り
獨り我等を照すなり
江口莊二郎 作詞
東雲告ぐる鷄の聲
鑑の響の聞えずも
薄雲あなたに靉きて
夜はほのぼのと曙や
わきて今朝しも風戰ぎ
舷叩く漣を
合わせて成りし驅逐隊
闇を冒して水雷の
敷設を了へて歸る途
遙になびく二條の
煙は正に敵の艦
見るより早く戰鬪の
しるしの旗と檣に
掲げて共に近よれば
敵の固めの黄金山
鷄冠山や饅頭山
老虎尾威遠數々の
砲臺掩護の其下に
砲火は彼より開かれつ
亦我是を迎へ撃ち
茲に激しき戰は
港口近くに起りけり
天に轟く雷の
音凄まじく飛ぶ彈は
雨か霰かはた吹雪
撃ちつ撃れつ追ひ
互に氣力のますにつれ
艦首より被る荒波は
面を向くべき樣もなき
火焔と水と打交る
戰今は時を經し
後に殘りし敵の艦
其友船に棄てられし
銘栓自稱のステクシチー
我に撃たれし彈丸
檣折られ艦橋も
打拂はれて剩さつ
進退自由を失ひつ
たゞ大海に漂へり
命のあらむ其限り
我れと戰く殊勝さよ
されども天は我軍に
與し給ふを如何にせむ
あはれや健氣の其艦は
戰ふ力盡健果てゝ
海底深く沈み行き
いつしく旭日さし上り
獨り我等を照すなり
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